鉾田市まちづくり推進会議

市民でまちをデザインする団体です。

07日

第20期 ほこた塾 基本講座③ 【対談】新作映画「痛くない死に方」と私の生き方(2019年12月5日)

映画監督の高橋伴明氏が、ほこた塾に来て下さいました。

塾長との対談形式で、生い立ちに始まり、高校時代、全共闘まっただ中の早稲田大学、そして大学を早々と後にして飛び込んだ映画の世界と、お話しが進みました。「TATTOO<刺青>あり」や「火火」などの過去作品のエピソードだけでなく、奥様との馴れ初めや映画監督のギャラなど、ここだけの秘密のお話しもありました。

後半は、2020年公開予定の新作映画の話題に。
死に場所や死に方を選ぶことができない現代日本。目前にせまる超多死社会。延命治療で一秒でも長く生きながらえることが、本当に良いことなのか。「死に方」そして表裏一体の関係にある「生き方」をこの映画を見て考えてほしいとのことです。

塾長からの「映画に協賛してエンドロールに「ほこた塾」の名前を載せてもらおう。」との呼びかけに、多くの塾生から賛同が得られました。映画の公開が楽しみです。

第20期 ほこた塾 特別講座② 【見聞】古地図で巡る水戸城・弘道館・偕楽園(2019年11月24日)

弘道館主任研究員 小圷のり子 先生を講師にお招きし、一日かけて、水戸城、弘道館、偕楽園をぶらりと巡りました。あいにくの雨模様でしたが、それもまた風情がありました。

【水戸城大手門】
古地図を手に(実際は雨のため広げられませんでしたが)、まずは復元完成間近の「水戸城大手門」へ。実際にその偉容を見て、ここにお城があったんだという強い存在感に圧倒されました。

完成間近の水戸城大手門

水戸城は那珂川と千波湖に挟まれた舌状台地という天然の要害に築かれました。陸続きとなる台地側には何本もの空堀が掘られ、その多くは今も見ることができます。(私的には、協同病院の脇の崖や、梅香トンネルに入っていく道沿いの谷、大工町と備前町の西側の谷が堀跡と知り、目から鱗です。)

大手門から二の丸側に行くと「水戸彰考館跡」があります。ここで水戸藩の事業として何代にも渡って編纂作業が行われた大日本史を見ることができます。それにしても文字の細かさに驚かされます。引用元が細かく記載されており、学術書として非常に価値あるものなのだそうです。

【弘道館正門・正庁・至善堂】
次に再び三の丸側に戻り、尊皇攘夷思想を生み出し維新の先駆けとなった日本最大の藩校「弘道館」へ。

弘道館正門

正門には弘道館戦争の時の弾痕が残っていました。正庁は総合大学たる弘道館の管理棟のような場所で、藩主隣席のもと大試験や諸儀式が行われました。

 

弘道館正庁 ・・・ 游於藝(芸に遊ぶ)

弘道館正庁 ・・・ 波打つ模様の「ぐし」や鬼瓦が見事

格式の高い建物であり、波打つ模様の「ぐし」や鬼瓦が見事でした。これらの瓦は東日本大震災で一枚も落ちなかったそうです。崩れたのは土壁のみ。土壁が揺れの衝撃を吸収して崩れるように作ってあったとのことです。正庁に隣接した至善堂は、藩主の休息所や諸公子の勉学の場でした。当時の湯殿や便所を見ることができ、面白かったですよ。

【弘道館八卦堂】
弘道館の中心にある「八卦堂(はっけどう)」を特別に見学させていただきました。八卦堂には、建学の精神が大理石に刻まれた「弘道館記碑」が納められています。この弘道館記碑は水戸空襲や東日本大震災を経験し、修復されてきました。傷だらけの姿が分かりますでしょうか。

八卦堂

弘道館記碑

八卦堂を中心としたレイラインのお話しもありました。水戸東照宮と大甕神社を結ぶラインと、静神社と吉田神社を結ぶラインの交点に八卦堂があるとのこと。神々の力の集まるパワースポットです。

【偕楽園】
午後からは偕楽園を訪れました。弘道館と対をなす庭園です。

水戸藩の学問・教育方針に「一張一弛(いっちょういっし)」という考え方があったそうです。弓は弦を張ったままだと駄目になってしまうので、必ず緩めなければならない。緊張して学芸を行うことと、時には遊ぶ・リラックスすることの両方が大切ということ。この教え、ストレス社会に生きる私達にも通ずるところがあります。八卦堂の弘道館記碑に「一張一弛」が刻まれていました。弘道館正庁に掲げられていた斉昭公の書「游於藝(芸に遊ぶ)」も、論語を引用しつつ水戸藩の教育方針を表していたということで繋がります。そして大きなスケールで「一張一弛」を具現化したものが弘道館と偕楽園だったのです。

「偕楽園は正門から入るべし。」と小圷先生は強調されました。静なる空間から華やかな庭園に至る計算された演出を、是非味わってもらいたいとのことです。

偕楽園正門

偕楽園は、武士だけではなく領民と偕(とも)に楽しむということから名付けられました。また、軍事用の保存食である梅干しを生産する梅林を始め、水田、茶畑、養蜂場などを有する殖産興業の場でもありました。新しい時代を見据えた壮大なビジョンの下に設計されていたことが良く分かりました。

好文亭からの景色

好文亭にて

梅林の庭園にて

好文亭の中にカフェがオープンしていました。歴史的な建造物の中で素晴らしい景色を眺めながらコーヒーをいただくなんて贅沢ですね。